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Kindle出版とは?

仕組み・費用・印税・始め方と、出版後の活用を解説

執筆:鈴木ケンジ|株式会社ゼロワン出版 代表取締役

Kindle出版とは、Amazonのセルフ出版サービス「Kindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)」を利用し、電子書籍をKindleストアで出版・販売する方法です。 著者自身が原稿や表紙を準備し、書籍情報や価格などを設定して、Amazonの審査を経て公開します。kdp.amazon.co.jp

自分の専門知識を伝える実用書、仕事や暮らしの経験をまとめた本、自伝、エッセイなど、出版するテーマにはさまざまな選択肢があります。

僕がKindle出版を勧めるのは、印税を得られるからだけではありません。書きながら自分の考えに気づいたり、本を読んだ人に仕事や人柄を知ってもらえたりする。そうした経験を、僕自身も重ねてきました。

この記事では、Kindle出版の基本的な仕組みから、費用、収益、出版までの流れ、出版後の活用までを解説します。

Kindle出版の仕組みとKDP

Kindleは、Amazonの電子書籍を読むためのサービスや端末・アプリの名称です。一方、KDPは、著者や出版者が本を登録し、出版・販売するためのサービスです。

Kindle本は専用端末だけでなく、対応するスマートフォンやタブレットのKindleアプリ、パソコンなどでも読めます。本の形式によって対応する端末や機能には違いがあります。kdp.amazon.co.jp

KDPによるセルフ出版では、著者が自分で企画や内容を考えて出版を進められます。原稿制作や編集など、必要な部分だけ専門家に依頼することもできます。

ただし、KDPにはコンテンツや品質に関する基準があります。本の内容、タイトル、表紙、商品説明などを整え、権利関係も確認したうえで提出します。kdp.amazon.co.jp

本を出すと、どんなことが変わる?

本を書いて自分の経験を振り返る。読んだ人から感想が届く。その本がきっかけで、仕事の相談を受ける。僕が出版で大切にしているのは、こうしたことです。

1.自分の経験や知識を、一冊に整理できる

本を書くには、これまで経験したことを振り返り、何を伝えるかを選び、読者が理解しやすい順番に並べる必要があります。その作業は、自分の強みや考え方を整理する機会にもなります。

僕も自伝『器用富豪』を書きながら、恥ずかしくて人に話せなかった貧しい過去を振り返りました。そこで気づいたのが、「貧乏でも幸せだった」ということ。過去の出来事は同じでも、書いた後では、その受け止め方が変わったんです。

2.専門性と人柄を、まとまった内容で伝えられる

一冊の本では、知識やノウハウに加え、その考えに至った背景や、仕事で大切にしていることも伝えられます。

講師なら教えている内容の基本と実践例、経営者なら仕事への考え方、専門職なら相談を受けるときに大切にしていること。知識だけでは伝わりにくい、その人らしさも書けるはずです。

僕は、知識だけでなく「どんな考えでこの仕事をしている人なのか」まで知ってもらえる本にしたいと思っています。

3.本を読んだ人から、仕事の相談を受けることもある

本を読んだ人が、著者の考えや専門分野に関心を持ち、ウェブサイトを見たり、講座や相談サービスについて調べたりすることがあります。

僕自身にも、本に書いた想いや人柄に共感して、講座に申し込んでくださった方がいます。この経験から、出版後にどのような活動へつなげたいかを、企画の段階から考えるようにしています。

出版した本をプロフィールで紹介する、講演やセミナーで取り上げる、関連するテーマをSNSで発信するなど、書籍と日々の活動を組み合わせて活用します。

Kindleの電子書籍と、紙の本はどう違う?

KDPでは、Kindleの電子書籍に加えて、紙の本である「ペーパーバック」も出版できます。 同じテーマの本でも、電子版と紙版では、読む方法や制作時に整える内容が異なります。kdp.amazon.co.jp

比較項目 Kindleの電子書籍 KDPペーパーバック
本の形 電子データ 印刷・製本された紙の本
読む方法 対応する端末やアプリで読む 紙面を直接読む
制作時の準備 電子書籍として読みやすい原稿と表紙を用意する 判型・余白・ページなどを調整し、紙版の本文と表紙を用意する
印刷・在庫 印刷や紙の在庫は不要 オンデマンド印刷のため、販売用の在庫を事前に持つ必要はない
活用の例 オンラインで読者に届ける、書籍の販売ページを紹介する セミナーで教材にする、対面で活動を紹介する際に手渡す

KDPペーパーバックの印刷費は、販売時のロイヤリティから差し引かれます。電子版を紙版にする場合は、紙の本としてのレイアウトや表紙の準備が必要です。kdp.amazon.co.jp

なお、KDPで紙の本を出すことと、日本の書店に流通させることは別です。書店での販売を希望する場合は、そのための方法を別に検討します。kdp.amazon.co.jp

Kindle出版では、どんな内容を本にできる?

本のテーマを考えるとき、僕がおすすめしているのは、「過去の自分に、今なら何を伝えたいか」という問いから始めることです。

仕事でつまずいた経験、趣味を続ける中で身につけた知識、人からよく相談されること。その中から、特定の読者に役立つテーマを探します。

テーマの手がかり 本にまとめる内容の例 想定する読者の例
仕事で身につけた知識 初心者が迷いやすい作業の進め方 その仕事を始めたばかりの人
悩みを乗り越えた経験 困っていた状況、試したこと、そこから得た気づき 同じような悩みを抱えている人
長く続けている趣味 始め方、道具の選び方、続ける工夫 これからその趣味を始めたい人
自分の人生や活動 自伝、エッセイ、転機となった出来事 著者の経験や考え方に関心がある人

上記は企画を考えるための例です。自分が書きたいことと、読者が知りたいことをすり合わせ、一冊の中で何を伝えるかを絞り込みます。

最初に「誰の、どんな悩みに、どんな経験や知識で応える本なのか」を一文にすると、目次も考えやすくなります。

Kindle出版には、どのくらい費用がかかる?

KDPでの出版手続きは無料です。 ただし、原稿制作、編集、表紙デザインなどを外注する場合は、制作費が別途必要になります。kdp.amazon.co.jp

費用を考えるときは、次の作業を自分で行うか、専門家に依頼するかを整理します。

  • 企画・原稿制作: テーマや構成を決め、本文を作る。
  • 編集・校正: 内容のわかりやすさ、事実関係、誤字脱字などを確認する。
  • 表紙デザイン: 読者に内容が伝わる表紙を用意する。
  • 出版用データの作成: 電子書籍として読みやすい形に整える。
  • 出版後の告知: 必要に応じて広告や販促物を用意する。

必要な予算は、依頼する範囲や原稿の状態などによって変わります。外注する場合は、作業内容、修正回数、納期、追加費用の条件を確認しておきましょう。

初めての出版では、自分で取り組む部分と、品質や時間の面から支援を受けたい部分を分けて考えると、進め方を決めやすくなります。

Kindle出版の印税と、読み放題の仕組み

電子書籍の販売によるロイヤリティ

KDPの電子書籍には、35%と70%のロイヤリティの選択肢があります。70%を適用するには価格や販売地域などの条件があり、日本の読者への販売ではKDPセレクトへの登録も必要です。kdp.amazon.co.jp

実際の受取額は、適用される税や、70%の場合に考慮される配信コストなどによって変わります。設定した税込価格に、そのままロイヤリティ率を掛けた金額とは限りません。

価格を決める際は、KDPの設定画面で条件と推定ロイヤリティを確認します。kdp.amazon.co.jp

読み放題とKDPセレクトは、立場の異なるサービス

Kindle+(旧Kindle Unlimited)は読者向けの読み放題サービス、KDPセレクトは著者・出版者が作品を登録するプログラムです。 現在のKDP公式ヘルプでは、Kindle UnlimitedからKindle+への名称変更が案内されています。kdp.amazon.co.jp

KDPセレクトに登録した電子書籍は読み放題の対象となり、読者が初めて読んだページ数に基づいて、KDPセレクトの基金から分配金を得る仕組みがあります。kdp.amazon.co.jp

KDPセレクトへの登録は任意で、登録期間は90日間です。期間中の電子版には、原則としてAmazonで独占配信する条件があります。他の電子書籍ストアや自分のウェブサイトでの公開・配布も考えている場合は、登録条件を確認しましょう。紙版の販売は電子版と扱いが異なります。kdp.amazon.co.jp

Kindle出版までの7つのステップ

初めての出版では、目的と読者を決めてから制作を進めることをおすすめします。全体の流れは、次のとおりです。

1.出版する目的と読者を決める

経験を残したい、専門知識を伝えたい、事業に活かしたいなど、出版する目的を整理します。

次に考えるのは、どんな人に読んでほしいのか、読んだ後に何がわかる本にしたいのか、ということです。

2.テーマと目次を組み立てる

一冊のテーマを絞り、読者が理解しやすい順番に章を並べます。

各章に書くことを先に決めておけば、執筆中に話がそれにくくなります。

3.原稿を書く

経験、事例、手順、考え方などを、目次に沿って文章にします。

書きやすい章から着手したり、話した内容をもとに整理したりする方法もあります。

4.内容を編集・校正する

説明の不足や重複、誤字脱字、事実関係、引用や画像の権利を確認します。

自分には当たり前でも、初めて読む人には説明が足りないかもしれません。そのつもりで読み直してみてください。

5.表紙と出版用データを準備する

本の内容と対象読者が伝わるタイトル・表紙を用意し、本文をKDPに対応する形式に整えます。

目次や見出し、改行、画像の表示も要確認です。

6.KDPで登録し、出版を申請する

KDPで書籍情報、商品説明、カテゴリー、権利、価格などを設定し、原稿と表紙を登録します。

プレビューを確認して提出すると、Amazonの審査に進みます。内容や形式によっては、修正が必要になる場合もあります。kdp.amazon.co.jp

7.出版後の告知と見直しを行う

ウェブサイトやSNSなどで、本の内容と、どのような人に読んでほしいかを紹介します。

読者からの反応を受け止めながら、今後の情報発信や本の改善につなげます。

Kindle出版をビジネスに活かすには?

仕事につなげたいなら、どんな人に読んでほしいか、その人がもっと知りたくなったときに何を案内するかを、書く前に考えておきましょう。

たとえば、講師やコンサルタントなら、よく受ける質問や基本的な考え方を本にまとめる方法があります。読者がその内容を役立てる中で、著者の専門分野や支援の考え方を理解できるようにします。

活用例:講師の知識を、書籍とセミナーで届ける

初心者がつまずきやすいテーマをKindle本にまとめ、ウェブサイトやSNSで書籍を紹介する。関連するテーマの情報発信を続け、さらに学びたい人がセミナーの内容を確認できるようにする。

対面での活動が多ければ、紙版も用意し、セミナーで参照する教材や、仕事の内容を説明する本として活用することも考えられます。

これは活用方法の例であり、特定の売上や申込件数を示すものではありません。

まずは、読んだ人が自分で試せる、役に立つ本にすること。そのうえで、もっと学びたい人に講座や活動を知ってもらう。僕は、この順番を大切にしています。

なお、書籍内に外部リンクを掲載する場合は、KDPの基準を確認します。公式ガイドラインでは、メールアドレスなどの顧客情報の入力を要求するWebフォームへのリンクを禁止例に挙げています。kdp.amazon.co.jp

Kindle出版についてよくある質問

出版未経験でも始められますか?

未経験から取り組むことはできます。まずはKDPの仕組みを知り、読者とテーマを決め、原稿と表紙を準備します。

内容や権利、品質については、経験の有無にかかわらず確認が必要です。

どのくらいの文字数を書けばよいですか?

文字数は、テーマや読者に伝える内容から考えます。

読みやすさを意識しながら、説明や具体例が不足していないかを確認しましょう。長さだけで本の価値や売れ方が決まるわけではありません。

出版すれば、自動的に売れたり仕事につながったりしますか?

出版しただけで、売上や仕事の依頼が保証されるわけではありません。

読みたいと思ってもらえる内容か、タイトルや表紙でそれが伝わるか、商品説明に不足はないか。出版後も告知しながら、読者の反応を見て改善していきましょう。

AIを使って本を作ることはできますか?

AIを制作に活用することはできます。

KDPでは、AIが生成した本文・画像・翻訳を使う場合、出版時などに申告が必要です。自分で作成した内容の校正・改善などにAIを使う「AIアシスト」は申告不要とされています。

どちらの場合も、事実関係や権利、品質の確認は必要です。kdp.amazon.co.jp

Kindle出版プロデューサーに依頼する必要はありますか?

KDPは著者自身で出版できる仕組みなので、依頼は必須ではありません。

テーマや目次の整理、原稿制作、進行管理、出版後の活用などで支援が必要な場合に、担当範囲を確認して依頼を検討します。

最初の一冊は、「過去の自分に伝えたいこと」から

Kindle出版は、自分の経験や知識を一冊の本に整理し、読者に届ける方法です。印税を得ること、自分の考えを深めること、専門性を伝えることなど、出版の目的は人によって異なります。

まずは、「過去の自分が、知っていたら助かったことは何か」を書き出してみてください。そして、今その情報を必要としている人を思い浮かべてみる。

相手が思い浮かんだら、その人に話すつもりで、伝えたいことを並べてみる。最初の一冊は、そこから始めてみませんか。


この記事の著者

鈴木ケンジ|株式会社ゼロワン出版 代表取締役

Kindle出版支援と、Kindle出版プロデューサーの育成に取り組む。2019年からプロデューサー育成を開始。ゼロワン出版の公表によると、受講生が関わった出版は1,061冊以上(2026年8月時点)。本とウェブ、マーケティングを組み合わせ、著者の経験や専門知識を出版と事業に活かす支援を行っている。

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